天木直人の公式ブログ

【バックナンバー】2005-03-29

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「国家の罠」という凄い本
 「国家の罠」という凄い本が新潮社から出版された。鈴木宗男事件に関係して逮捕・起訴された佐藤優元外務省所職員の手になる告発書である。
 さっそく購入して目を通した。そして推測していた以上に卑劣な事が外務官僚と検察官僚によって行われていたことを知った。この国の闇を見る思いがした。
 しかし、この本の凄さの意味を一般の読者はどこまで理解するであろうか。この告発書の本当の凄さを、耐えられない思いで読んでいるのは外務省、検察庁の当事者であるに違いない。
 私がこの書で感じた思いは到底一言で述べられない。ここでは著者が国家権力に一人立ち向かって訴えようとしたつぎの二点を指摘するにとどめる。それだけでも十分すぎると思うからだ。4月8日号の週刊朝日、4月9日号の週間現代からの記事を一部引用して紹介する。
 その一つは「国策捜査」というものを、検察官自身が認めたという驚くべき事実である。「国策捜査」とは国家利益を守る目的で犯罪を作り上げていく作為的な捜査だ。
 東京地検特捜部の西村尚芳検事は佐藤氏にこう言ったという、「あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件をつくるため。国策捜査は時代のけじめをつけるために必要なんです。(あなたは)運が悪かったとしか言えない・・・」。どれほどの人間が国策捜査の犠牲になってきたことだろう。戦前ならいざしらず、今日においてもこのような国策捜査が行われていることは衝撃的だ。
 もう一つは外務官僚の卑劣さだ。佐藤氏は、「ムネオ事件」の発端となった鈴木宗男と田中真紀子の相打ちは、両者を外務省から追放したかった外務官僚の陰謀だったと主張する。そして「外務省は組織防衛のためなら何でもする。私のやったことは上層部がすべて決済して了承されたことであったのに、決裁書はすべて密かに処分され、公判でもウソの証言をした」と糾弾する。
 佐藤氏の小泉首相に関する言及がおもしろい。極めて正鵠を得ていると思う。「私は小泉首相本人が意図的に鈴木さんを狙ったとは思いません。鈴木さんを守って政権がつぶれるのを回避しただけです」
 「国家の罠」で明らかにされた務官僚の卑劣さ。政治家さえも切り捨てる面従腹背の官僚のしたたかさ。しかもその官僚が出世の為にお互いを攻撃しあう。裏切る。佐藤氏は言う、「なにしろ正式な決済を得て、上司からも『骨を拾う』と言われて進めた仕事で逮捕されたわけです。つまり骨になっても、その骨さえ絶対に拾ってもらえない・・・外務省と言う組織は、あの時に壊れてしまったのです・・・」
 日朝国交正常化交渉担当大使というポスト
 3月29日付の読売新聞に政府は29日の閣議で鈴木勝也・日朝国交正常化交渉担当大使の後任に、原口幸市・前国連大使を当てる人事を決定するという、小さな一段記事が出ていた。
 これが今の外務省人事のデタラメさを物語っている。そもそも鈴木大使はこれまでどんな仕事を何をしてきたというのか。二年ほど前に就任したばかりのとき、一度だけ北朝鮮と拉致問題で交渉しただけだ。後はまともに出勤さえもしなかったのではないか。拉致問題の交渉は田中、藪中、斎木などといった局長クラスの現職官僚が全面的に交渉に当たってきた。しかも今では北朝鮮との交渉そのものが行き詰まっている。彼らの仕事さえないのだ。
 月額百数十万円もの大使給料をもらいながらまったく仕事がなく一年を過ごす。今度任命された原口大使に至っては、その任期の間中日朝交渉は行われないのではないか。何をして毎日を過ごすつもりなのだろう。
このような無駄な人事がまかり通っているのである。何の疑問もなく閣議決定されるのである。そんなポストを平気で持ち続ける外務省も外務省だが、そんなポストをありがたく(働かないで月給百数十万円をもらえるのであるから勿論ありがたいだろうが)拝命する外務官僚も、まともな神経ではない。要するに外務省全体がおかしいのだ。
 エルピーダメモリ社長の坂本幸雄さん
 3月28日付の日経新聞、「人間発見」欄に、エルピーダメモリという半導体メーカーの社長である坂本幸雄さんという人の紹介記事があった。三年連続の赤字決算で死に体だった会社を建て直し、企業再建に生きがいを感じる異能の経営者という。その人の語る言葉に私は惹かれるものを感じた。何もしないで高級を当たり前のように受け取る天下り官僚との、自らの手で会社を立て直す努力をするこの社長との間に、人間としての天と地の開きを感じた。
 「・・・(黒字化するという私の目標を)社員は上の空で聞いていたでしょう。なにしろ設立以来、黒字になったことがなく、カネも製造設備も全然足りない状況でしたから。でも技術は優秀です・・・会社の盛衰には4つのキーワードがあると考えています。『夢』で始まり、『情熱』で大きくなり、『責任感』で安定し、『官僚化』で衰退する。当時の社員には目に輝きがなかった。『夢』からスタートする必要がありました・・・ところがカネの問題ではたと困りました。就任前は『全面的に支援する』と言っていた親会社に、あまり出す気がないことがわかったのです・・・米インテルにも出資を要請するため、イラク戦争が始まった3月20日に渡米しました。テロへの恐怖感はなく、自分も戦争中という思いでした。交渉中は徹夜もしました。食事に向かう車の中で、インテル首脳と交わした会話が印象に残っています。『再建にめどがつくまで辞めないでしょうね』、『辞めません』、『本当に立て直すつもりですか』、『もちろんです』。相手は『では契約の細部をつめましょう』と言ってくれた・・・上場した昨年11月15日、全社員にメールを送りました。感謝の気持ちを伝えたうえで『我々のゴールは利益、売り上げともに世界一のメモリメーカーになるということです』と書きました・・・強く念じないと夢は実現しないと思っています・・・」
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