天木直人の公式ブログ

【バックナンバー】2005-06-21

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靖国、イラク、そしてアメリカ
移り気な日本のメディアはもはやイラク戦争に関心を示さない。それにともなって日本の国民もイラク戦争のことを忘れ去ろうとしている。今は靖国ばかりだ。
日本のタカ派政治家や言論人は、ここに来て愛国心を前面に出して中国、韓国に攻撃的だ。しかし本当に愛国心を唱えるなら、米国からの自立に向けられるべきだろう。米国の圧力に屈した欲不満が、弱者のアジアに向かうのだ。日本人のいつものパターンだ。
小泉首相は靖国問題で政治生命を失うことになろう。犠牲者はあの戦争で「はからずも死んでいった人」だけではない。その人たちに哀悼のまことを捧げる前に、不合理に殺されていった人の無念さと恨みを鎮めなければならない。小泉首相はその恨みと怒りを呼び起こした。彼らの恨みと怒りの前には小泉首相はひとたまりもない。
それにしても日韓首脳会談の馬鹿さ加減はどうだ。成果は「会ったことだけ」(21日朝日)だと。意味のない会談がとなることがわかっていたのに、「会談延期」という小泉首相の失点を避ける為に無理をして設定した会談。そして「靖国問題は首相自身が判断する問題」とはなから沈黙を決め込んだ外務官僚の無気力さ。
不合理に殺されていった犠牲者の無念さと恨み、怒り、悲しみは、イラク人も同様だ。この怨念にブッシュ大統領が追い込まれている。
最近立て続けに米国の世論調査が発表された。ワシントン・ポスト紙とABCテレビが6月8日に発表した調査によると、イラク戦争が「泥沼化している」と答えた人が65%に上り、「イラク戦争後も米国は安全になっていない」と否定的評価をした人が過半数を超えたという。ブッシュ大統領に対する不支持率も52%に達し、2001年1月大統領に就任して以来、最低水準を記録したという。さらに13日付のUSトィデイ紙はギャラップ社との共同調査結果を発表した。それによると、イラクから米軍を撤退させるよう求める米国有権者は59%に達し、これは今年2月の時点よりも10%も増加したという。
あのイラク戦争については、世界の心ある国民は皆これに批判的であった。ひとり米国国民だけが圧倒的にブッシュの戦争を支持した。ところがその米国国民さえも間違いに気づき始めたのだ。イラク戦争が間違いであるという評価は完全に定まったといっていい。
米国国民が間違いに気づくのも無理はない。米国の度重なる掃討作戦にもかかわらず、武力抵抗はおさまるどころかますます多発している。4月末にやっと暫定政権ができたにもかかわらず、情勢はさらに悪化している。かつては週一回程度の自爆テロが5月以降は毎日のように起きている。しかも一日に何度も起きているのである。
ブッシュ大統領の支持率はさらに低下していくであろう。米国内ではすでに08年の大統領選挙に次々と候補者が名乗り出ているという。小泉首相のポン友であるブッシュ大統領は任期を3年以上も残してもはやレイム・ダックになりつつあるのだ。
そんなブッシュ大統領が、ここに来て更なるピンチに見舞われている。英紙サンデー・タイムズは5月1日付で「イラク開戦の一年近くも前に、ブッシュ大統領とブレア首相がイラクの体制転換を目的に侵略に合意していた」と報じた。同紙が暴露したこの英国官邸メモ(ダウニング街メモ)が亡霊のごとくブッシュ大統領にダメ押しの一撃を加えている。週刊東洋経済6月25日が伝える英ストロー外相のブレア首相へ発言は衝撃的である。イラク開戦より一年も前の02年3月の発言である。
「イラクへの攻撃は政治的、軍事的、法律的にも根拠が薄い。この戦争によって何が得られるかという問いには何も答えられない」
ついに米下院司法委員会は6月16日「ダウニング街議事録公聴会」を開き、120人を超える議員が「メモ」の内容の確認を迫った。ブレア首相もブッシュ大統領も政治生命の終わりに近づきつつある。
そんな中で、小泉首相だけが責任を問われなくてよいはずはない。米国が頼みの小泉首相は、その米国のためにアジアの信頼を失い、中東を失望させ、平和憲法を足蹴にし、挙句の果てにその米国に使い捨てられる。ここまで日本という国を貶めた罪はあまりにも大きい。
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