天木直人の公式ブログ

【バックナンバー】2005-10-21

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こっそり世論調査
 これは注目されて良い記事である。10月21日の毎日新聞が「こっそり世論調査」という中田卓二記者の囲み記事を載せていた。その記事によれば、細田官房長官が20日の記者会見で、「発表するかしないかは別」と述べ、非公表の世論調査をしていることをにじませたという。
 やっぱりそうだったのかという思いがする。小泉人気の源泉は常に世論受けを念頭に置いてパフォーマンスを繰り返すことにある。拉致問題にしても靖国参拝にしても、そして何よりも郵政改革解散にしても、あらかじめ世論の反応を見極めた上で、それが世論の支持を得る事を確認して行われた行動であったのだ。小泉側近はそのような世論の考えを、国家権力と税金をフルに使って絶えず秘密裏に調査を繰り返してきたのだ。
 それにしても姑息である。人気取りのためにこのような秘密調査を行ってきたことを言っているのではない。それがバレタとたんに慌てふためいて否定するところがである。細田官房長官は、記者会見で、「誤解を与えてはいけないものがあれば結果は出さない」と非公表の世論調査があることをいったん認める発言をしていた。それにもかかわらず、その日の夕には、「各界の有識者にちょっと感触を聞き取るようなもので、世論調査はしていない」と否定したという。政府筋は「さまざまな政策テーマについて世論の動向を調べるための調査をしており、公表していないものもある」とすでに認めているにもかかわらずである。
 嘘をつかねばならないほどやましいのか。非公表の世論調査があるのかないのか、あるとして政府は過去どのようなテーマでどのくらいの頻度でやってきたのか、その予算はどこからでているのか、野党は国会で追及すべきである。メディアはこの事をもっと大きく報じるべきである。
 断片的な報道が国民の目を曇らせる
 米軍再編に関する日米秘密協議に関する連日の断片的な報道が、結果的に日米軍事同盟強化の現実を国民から見えなくしている。例えば10月21日の日経一面に「沖縄海兵隊3割削減」を米政府が検討していると報じられた。その前には例えば10月16日の読売新聞などで米政府が米軍施設の一部を日本に返還することを認めたという記事が出ていた。あたかも米国が基地縮小に譲歩しているかのような印象を与える。
ところが実際はとんでもない交渉が行われているのだ。米軍はあくまでも「普天間基地」の移転問題の決着を固執し、負担削減案のすべては普天間基地の解決を前提としたパッケージ解決であるとしている。しかも普天間基地の移転先は住民が反対し続けてきた辺野古沖での建設を強硬に要求し、わが外務省は米国と一緒になってこの案での合意を急いでいる。
 米軍再編の日米協議は、「負担軽減」と「抑止力の維持」の二つの要素を勘案して決めると小泉首相はお経のように繰り返す。しかし小泉首相がブッシュ訪日で約束しようとしていることは、みせかけの「負担軽減」と引き換えに、「基地の固定化」、「日本国内のたらいまわし」、「財政支援の追加」、「基地の日米共有化」などといった対米軍事協力強化要求を丸呑みすることである。
 そもそも何のための米軍再編なのか。日本の安全にとって本当に必要な事なのか。日本を取り巻く安全保障の環境は冷戦時に比べはるかに安全になっている。それにもかかわらず、「テロとの戦い」や「中国の脅威」などというつくられた脅威に我々は踊らされているのではないか。これらの根本問題を含め、今日の国際情勢における日米安保の有用性と正当性の議論がまったくなされていないのである。
それよりもなによりも、今日米間でどのような協議が行われているかについて、政府は国民にまったく説明責任を果たしていない。米国の言いなりになって決定された合意を、国民に飲めというのではあまりにも国民を馬鹿にした話である。世の中の軍事専門家よ、安保専門家よ。立場の違いを超えて、今こそ国民の前で論争を展開すべきではないか。
あらゆる護憲、平和主義者よ。米軍再編に関する日米協議の欺瞞を取り上げずして護憲や平和を叫んでも、「時既に遅し」と心得なくてはならない。その意味からも沖縄の辺野古沖基地建設反対闘争の今日的重要性がもっと強調されなければならない。それは一人沖縄の問題ではない。戦後60年にして日本が迎えた最大、最強の護憲、平和問題の象徴なのだ。戦うとしたらこの一転突破しかない。米国にとっても、日本政府にとっても普天間基地問題は最強の敵なのである。
 川口候補の当選を、指を加えて眺めるしかないのか
 10月21日の朝日新聞に「参院神奈川補選ルポ」なる記事があった。その見出しを見てため息が出た。「叫べる改革テーマない 自民」、「自民と近くなりすぎた 民主」とある。この前まで外相をやっていた川口候補は外交を語ることなく子育て支援策を取り上げているらしい。「仕事と育児を両立させた2児の母」を強調する。「次の改革課題が何か、候補者が大声で叫べるテーマがない。下手に改革を叫んで有権者に飽きられてはかなわない」ということらしい。小泉圧勝の後押しのもとに、外相の知名度もあって、「名前をいまさら売らなくても」いいという自信もあるのだろう。
 一方の民主党陣営は、「郵政はもう終わったんです」と訴えて小泉旋風の終わりを強調しているらしいが、明確な争点をつくれず、牧山候補者の訴えの中心は川口候補と同様、子育て支援策という。経済政策にしても外交・安保問題にしても自民党と近くなりすぎ、「税金の無駄遣いをするな」ぐらいしか明確な違いを言えないのだ。こんなことでどうして勝てるというのか。違いは赤の川口に対する白の牧山だけなのか。これではまるで運動会だ。
その一方で共産党は、我々だけが基地・靖国で首相を批判している「たしかな野党」であると強調しているらしい。その訴えは正しい。しかし共産党がそれを叫べば叫ぶほど、国民的課題であるこれらの問題が共産党のキャッチフレーズのように独占されて、国民的広がりを阻害してしまっているというに、共産党はいまこそ気づかなければならない。共産党はみずからの組織防衛に甘んじることなく、米軍再編の問題を国民的問題に広がるようにしなければならないのだ。その為には共産党だけのエゴで動いてはいけない。他方において社会党は、この期に及んでも党の再生を図ろうとする無駄な悪あがきをすることなく、共産党候補を支援すべきだ。連合は民主党にしがみつくことなく労働運動の中心を平和や護憲に据えるべきだ。平和や護憲を叫ぶ市民は、この神奈川補選を「平和の為の戦い」の関が原ととらえて平和の結集を行うべきであったのだ。
いずれにしても投票は二日後に迫っている。もはや時遅し。小泉圧勝の総選挙の続きが再び繰り返されるのを、指を加えて眺めるしかなさそうだ。日本の政治はどうにもならない状況が当分続くことになる。
哀れなブッシュ大統領と米国国民
 ブッシュ政権が苦境に立たされていることについて最近あちこちの雑誌で頻繁に書かれるようになった。そのような報道の中で私が注目したのは次の二つの記事である。一つは10月15日の各紙で報道されている米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが13日に発表した米世論調査である。それによるとブッシュ大統領が最終的に「失敗した大統領」と記憶されると答えた国民が41%に上るという。これは今年はじめの再選就任直後の27%という数字と比べると急速な変化である。ブッシュ大統領の支持率はもはや38%と下がる一方であるが、「失敗した大統領」の烙印を押す国民が41%もいることは驚きである。
 もう一つの記事は、10月14日の日経の、NBCテレビとウオールストリートジャーナルが12日に発表した合同世論調査の数字の中で黒人層の米大統領支持率がわずか2%という米国史上でも極めて異例な数字が出た、という記事である。そういえばオハイオ州トレド市で黒人による暴動が最近起こっている。市民運動が盛んであった60年代ならいざ知らず今日の米国でも黒人問題が存在するのだ。そして所得格差の広がりとともに表面化する潜在的脅威がますます大きくなっている。
これに関連して10月21日の毎日新聞「世界の目」において、ワシントン・ポスト、コラムニストのリチャード・コーエン氏が次のような記事を寄稿していた。
「・・・ジョンソン大統領は当初、「ベトナム戦争と偉大な社会は両立できる」と言ったが、最後は「増税なしには、ベトナム戦争を続けながら医療保険制度を充実する偉大な社会プログラムを継続できない」と連邦議会にメッセージを送った。それから一年もたたずに、彼は再選を断念した・・・2期目のブッシュ大統領に再選(の心配)はなく、国家財政破綻の責任を取る必要はない。国民に「銃」と「バター」は両立するといい続ける・・・しかし国民の大多数(54%)は「イラク戦費」の削減を求めている・・・国の借金はやがて利率を上昇させ加速しインフレの引き金になる。それは戦争そのものよりも長引くおそれがある。物価は上昇し有権者はいらだつ。これは悪夢のシナリオではなく、不可避な事実なのだ・・・」
大統領選挙がもし一年遅れて行われていたとすればブッシュ大統領の再選はありえなかったであろう。再選後一年にもならないブッシュ大統領はすでにレイムダック化しつつある。それでもあと3年以上もブッシュ大統領は大統領を続けなくてはならない。国民はそれを我慢しなければならない。哀れなブッシュ大統領と米国国民であると私が考えるゆえんである。
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