天木直人の公式ブログ

ひっそりと退場させられた国連監視検証査察委員会

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ひっそりと退場させられた国連監視検証査察委員会
 今日の新聞の中で、私はこの小さな記事を一つの感慨を持って読んだ。30日の読売新聞だけがとりあげていた。
 国連安全保障理事会は29日、イラクで大量破壊兵器の査察を行っていた国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)を廃止する決議案を、賛成14、棄権1(ロシア)で採択したという。「まだ存続していたのか」という思いとともに、なぜ今まで存続させられていたのかと思った。そしてその理由を読売新聞のこの記事で知った。
 この仰々しい名前の国連監視検証査察委員会は、4年前、米国がイラクを攻撃しようとしていた時の国際政治の主役の一人であった。ブリッグス委員長の名前とともに当時毎日のようにニュースを賑わせていた。イラクの大量破壊兵器の有無をめぐり米英と対立した国連監視検証査察委員会は、「大量破壊兵器保有の証拠はいまだ見つかっていない」として更なる査察の継続を求めたが、米英はそれを無視して開戦に踏み切った。
  それから4年、今ではイラクに大量破壊兵器がなかった事を世界中が知っている。米国の政府調査団が「大量破壊兵器は存在しなかった」という報告書を出したのは04年10月だった。国連査察委員会が正しかった事が認められた瞬間だった。
  本来はその時点で国連査察委員会は名誉を持ってその任務を終了し、国連査察委員会の正しさが世界に大きく報道されてしかるべきであった。しかし実際は米国が誤りを認めた後も形だけの存在が継続され、やっと昨29日に、ひっそりと廃止されることになったのだ。
  「米英は、開戦責任を問う論争が再燃するのを回避したかった」というのが国連外交筋の一致した見方であるという(読売新聞)。そういえばブレア前首相はすでに退任した。米国は次期大統領選挙に走り出している。もはや誰もブッシュ大統領の事を口にしない。
  読売新聞の報道によれば、廃止を決めた決議案の中には、「国連事務総長に機密資料の適切な処理」を求めるくだりがあるという。何を隠そうとしているのか。
  国連査察委員会が28日に発表した総括報告書は「・・・現場での査察が、外部の情報源よりも正確な情報をもたらすことを示した・・・」と、米国に対する精一杯の抵抗を示している。しかしその全貌は、またしても国際政治の力学により、秘密のなかに閉じ込められたままで終わろうとしている。今更何を隠そうとしているのか。
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