天木直人の公式ブログ

参院選の最大の敗北者は小泉前首相である

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 参院選の最大の敗北者は小泉前首相である
  参院選の総括をめぐる報道は当分おさまりそうもない。そんな政局報道の洪水の中で、私が最も興味深く読んだのは8月1日の読売新聞の「検証・安倍首相続投」と題する記事である。その記事の中で私の目を釘付けにしたのは安倍首相の続投宣言についての一連の小泉発言である。
  敗戦が濃厚になりつつあった7月21日の時点で、小泉前首相は遊説先の名古屋で、自民党愛知県連会長の大村秀章から、「情勢は厳しい。40代前半です」と告げられた。それに対する小泉前首相の反応がふるっている。「そんなにいいか?40台も難しいだろう」と言い返したというのだ。小泉前首相はまた、「誰も安倍続投を言い出さなければ、(俺が)真っ先に声を上げる」などと宣言していたという。更にまた小泉前首相は安倍首相に対し、「勝って良し、負けて良しだ」と助言していたという。
 それから一週間後の7月29日夜、首相官邸に入った安倍首相は、議席数が37まで減少する事を知らされてなお、「強い意志で政権を担当する」と宣言をした。
 この強気の発言の裏には、総理の座を目前にして病に倒れた岳父安倍晋太郎の無念さと、その無念さにゆえに総理になり急いだ自分が、わずか10ヶ月で総理の座を降りるわけには行かない、そういう個人的執着があったに違いない。しかし、仮にそうであったとしても、やはり上記の小泉前首相の言葉が強い援護射撃になったことは間違いないだろう。
  問題は何故小泉前首相がそこまでして安倍首相の続投を望んだのかということだ。勿論小泉前首相が安倍首相の為を思って続投発言を繰り返したのではない。自分の為である。政策ではなく政局の人だと公言してきた小泉前首相が今後の政界で影響力を保ち続けられるとしたら、安倍政権を少しでも長引かせ、その背後で影響力を保ち続ける以外にない。
  マスコミに書かれている世評とは逆に、私は年金問題に端を発する自民党の逆風は小泉前首相の野望を木っ端微塵に打ち砕いたと思っている。一頃小泉再登板がしきりに取りざたされていた時があった。しかし年金問題の責任が歴代の厚生大臣に及び、しかも責任者の給与の返上が指摘されたとき、「払う金は俺にはない」とうそぶき、「自民党から出しますから」と中川秀直幹事長が対応したと報道された事があった。これを知った世論の反発は大きかった。若者が怒った。この時点で小泉再登板は大きく出鼻を挫かれた。
  今度の選挙では、応援演説に出かけた小泉首相の人気は健在だと報じられた。しかし本当にそうだろうか。政策について語る事のできない小泉前首相の応援発言は、新聞の報ずるところによれば田中真紀子のそれと同じくよもやま話に終始し、やがて飽きられつつあった。心ある有権者にとってはもはや得るところはない演説だ。
  それどころか今日の安倍政権を襲っている問題のすべては小泉政権5年半のツケである。その解決策を語れない人物が何をしゃべってもむなしい。小泉再登板など出来るはずは無い。それを知っているからこそ本人にその気はないのだ。安倍首相に影響力を与えつつ政局を動かす、これこそが小泉前首相の思い描いていたシナリオではなかったか。
  巷間囁かれているもう一つのシナリオは、小泉チルドレンを引き連れての新しい派閥の立ち上げである。そのためには解散・総選挙を何としてでも阻止しなければならない。選挙をしてしまっては、小泉チルドレンは全滅する。小泉首相はすべてを失う事になる。小泉前首相は安倍首相の続投を求め、解散・総選挙を急がないのはこのためである。
  もっともこのシナリオはそもそもなりたたない。面倒見の悪い小泉前首相が派閥の領袖などという真似はできない。せいぜい武部あたりにやらせるのであろうが武部に派閥を担う力はない。なによりも、解散・総選挙の圧力は、安倍首相や小泉前首相の思惑とは逆に、これから日を追って加速していくであろう。その流れに抗して解散・総選挙を遅らせようとすればするほど、安倍政権は行き詰り、追い込まれていくに違いない。
  それよりも何よりも今の自民党の迷走は結党以来の危機である。とても小泉人気にすがればよいというような生易しいものではない。安倍退陣を巡って反安倍の古い自民党と、安倍首相のお友達グループである新しい自民党の戦いが始まろうとしている。参院の有力者である青木や片山の辞任や落選で、いまや自民党は参院を失ってしまった。内閣改造によってどのような顔ぶれになるのか。挙党体制で臨んだところで統一した組閣が出来るのか。自民党はもはや元の力強い自民党に戻れないのではないかと思われるほどだ。
  小泉前首相が叫んだ「自民党をぶっ潰す」ということはこういうことであったのだ。二年前の郵政解散、総選挙の結果大量生産された多くの小泉チルドレンは、いまや大量の不良債権と化して小泉前首相の行動を縛ってしまった。そしてこの不良債権問題を片づける実力は小泉前首相には無い。このように考えていくと、今度の選挙の最大の敗北者は小泉前首相に違いない。 
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