天木直人の公式ブログ

迷走するテロ特措法延長問題の核心を衝くーその1

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 迷走するテロ特措法延長問題の核心を衝くーその1
  私がこのブログを書き始めてまもなく、私はある事に気づいた。私のブログは、筆者の身元を明かしてすべての読者に公開するブログである。いわば無防備のブログだ。しかも政府・官僚の間違いを正面から批判するブログである。国家権力を敵にして手の内のすべてをさらけだして書いている。それは危険ではないか。馬鹿らしくないか。その通りである。
  しかし私も官僚を長年やってきた人間である。単純ではない。計算高い。純粋な善人ではない。それなりの知恵はある。
  私のたどりついた結論は、「読まれる」ことを前提にして書くという事である。だから当然私のブログは脚色がある。もう一つ、どこから読んでも文句が言えない絶対的真実を書き続けるという事である。
  この作業に耐えられる体力、気力がなくなれば直ちに書くことを止めるつもりである。そう思って書いている。私がブログを書くのは自分との闘いであると思っている。
  35年間外務官僚を続けてきたとは言え、今の私は還暦を迎えたただの一市民だ。若い頃の自分に比べあらゆる面で衰えを感じる。手にする情報は皆が等しく共有する公開情報しかない。しかしそれでも私には自信がある。真実が見える。政治家や官僚の考える事が手に取るようにわかる。狂信的な自己過信とそれに耐えうる無私の自己犠牲の気持ちがある限り「正義は我にあり」だ。自らをごまかそうとする邪心が心の中に少しでも生じれば、その瞬間にこのブログを書き続けることは出来なくなる。
  前置きが長くなった。今日のブログは、迷走するテロ特措法延長問題についてである。何回かにわけてやや詳しく述べてみたい。重要なテーマであるからだ。私の考えを正確に伝えたいからだ。誰も書かない、書けない、本質を衝いてみせる。
(1)テロ特措法延長の是非はこの国の基本的あり方を問う問題である。
 
 小沢民主党代表がこの問題について発言したのは、たしか8月上旬であった。参院選での大勝利の直後である。私は瞬間的に、この問題が小沢民主党にとって、負担になると思った。なぜならば、この問題は年金問題や「政治とカネ」のスキャンダルと違って、複雑な議論に巻き込まれる政策問題であるからだ。しかもこの問題は、突き詰めていけば戦後62年続いた日米軍事同盟体制という国の根幹に関わる問題である。そんな問題に今の小沢民主党は進んで巻き込まれてはいけない。
  小沢民主党にとって目前の課題はなんと言っても政権奪取である。一日でもはやく解散・総選挙に追い込んで衆議院で勝利を収めることだ。その為には国民が圧倒的に怒っている年金問題と政治とカネの問題に集中して自民党を追い込むべきなのだ。
(2)テロ特措法延長問題は落としどころをはやく決めるべきだ
  そうは言っても、もう発言してしまった。シーファー大使を呼びつけて国民の前で大見得を切ってしまった。だから小沢民主党にとっての最善策は、自らに有利な形で落としどころを見つけるべきなのだ。
  小沢叩きを試みる連中はすでに色々な攻撃を始めている。これは今後も加速していくであろう。
その一つが、「シーファー大使を呼びつけて国民の前で会談を公開した」事が、無礼だ、傲慢だ、外交常識に欠ける、という事である。しかしそれは違う。
  大使の仕事は任国とのパイプを強化し、友好関係を促進し、情報収集を行い、広報や工作をして自国の国益を実現することにある。だから大使は何でもしなければならない。野党の党首と関係を築くのも重要な仕事だ。報道によれば、シーファー大使は親米派の前原などと会っておきながら、小沢とは一度も会っていなかったらしいが、これは大使の怠慢なのである。ましてや政権政党に近づきつつある野党の党首である。しかもテロ特措法の延長を要請するために理解を求めなければならない立場にある。シーファー大使が小沢党首を訪れるのは、外交的常識からも当たり前なのだ。
  会議が公開された事についても何ら問題はない。大使にとっては秘密にする事は何もなかったはずだ。むしろ日本国民に向けてテロ特措法の重要性と有益性をアピールできる絶好の場である。もし公開が絶対に嫌であれば、シーファー大使は断る事が出来たに違いない。そしてシーファー大使が強く非公開を求めたのであれば小沢党首はそれを拒否しなかったに違いない。あの会談は合意の上の会談であったのだ。困るのはすべてを秘密主義で誤魔化そうとする外務官僚だけなのである。
  話がそれてしまったが、私が言いたかった事は、インド洋における補給活動の継続を強く期待する米国の要求に対し、小沢民主党がどう対応すれば小沢民主党にとって最善であるかという事である。これが私のいう落としどころなのである。
  ブッシュ政権にとって今日本に補給活動を止められてはあらゆる意味で困ることになる。ブッシュ政権は最後まで「テロとの戦いは正しかった」と言って任期を終える覚悟である。その一方でテロとの戦いに勝利は見えない。イラクにしてもアフガンにしても状況が悪化している。つまり日々追い込まれているのだ。そんな中でもっとも米国を支えてきた日本が、この時点で手を引く事は、国内的にも対外的にもブッシュ政権にとって大きな痛手だ。だからこそテロ特措法の延長に固執するのだ。
  そんなブッシュ政権を叩くことが小沢民主党のすべき仕事ではない。ブッシュ政権はやがて終わる、米国国民もブッシュ政権を見捨てつつある、だから少しぐらいブッシュを怒らせても大丈夫だ、そう小沢民主党が高をくくっているとしたら大きな間違いだ。現実に給油が出来なくなったとすれば米国は小沢民主党を批判するに違いない。反小沢の自民党や自民党を支え続ける識者や国民は、米国と結託して小沢叩きを加速させるであろう。政権が現実的になった今、政権政党の党首を目指す小沢氏にとって、米国との関係で不要なエネルギーを使ってはいけない。それは決して得策ではない。
(3) テロ特措法延長反対を声高に叫んでいる連中は誰か
 私はテロ特措法の延長に反対である。それはテロ特措法が米国の間違ったテロとの闘いに加担するものであるからだ。そしてそれは憲法9条に反する違憲行為であるからだ。そしてその事を突き詰めていけば、戦後62年続いた日米安保体制、日米軍事同盟関係を根本的に変えなければ日本の将来はないと思うからだ。
 しかし日米軍事同盟関係を改めるということは、戦後62年続いた日本の国の在り方を根本的に変えることである。これは一政権の出来ることではない。国民の総意に基づいて、何代もの政権を経て戦後外交の舵を大きく切って行くことだ。
 性急に日米関係の転換を叫んでいる者は誰か。それは対米従属は不愉快だといった感情論に基づく国民であり、米国帝国主義粉砕といった左翼イデオロギー論者であり、これを機会に自民党との違いを鮮明にし、ぶれない民主党を示して世論の支持を失わないようにしようと考える政局論者である。しかしそのような連中は無責任な連中だ。本気で日米関係を変えようと思う者ではない。彼らでは日米軍事同盟関係は変えられない。
  私のこの意見を読んだ読者の中には、私が自民党支持か民主党支持かわからないだとか、対米従属批判を標榜してきた私が変節したとか、考えがブレているとか言うものがいる。笑止千万だ。私は、すでに述べたように、イデオロギー的左翼でもなければ、単純な反米主義者ではない。ましてや単純な民主党支持者ではない。
  私の最大の関心は、いつの日か日本が米国との軍事同盟から解き放たれて世界に拍手喝さいを受ける真の意味での平和国家日本を実現することである。憲法9条を世界に掲げて、どのような国からも敵視されない堂々とした絶対善を実施できる国に日本を導く事である。
  この理想を実現する事は容易ではない。左翼イデオロギーを掲げる日本共産党や旧社会党には出来ない。出来るものならとっくに実現できていたはずだ。旧社会党に至っては安保体制を容認する始末である。
  私は政権交替論者であるから野党第一党の民主党が政権奪取に近づいた今、何としてでも政権を取ってもらいたいと考える。そして民主党の指導者の中ではそれができるのは小沢一郎しかいないと思っている。だから小沢民主党を支持する。しかしそれ以上のものはない。
  何が何でも民主党を応援するという連中とはまったく考え方が違う。民主党が政権をとっても、私の求める日本をつくる事が出来なければ批判の対象になる。それよりも何よりも今の民主党の議員の顔ぶれを見る限り全体として自民党のそれよりも劣っている。こんな連中が政権をとって偉そうにされてはたまらないと思ったりさえする。しかも今度の総選挙では、勝てるとみるや、味噌も糞も民主党の公認を得て立候補しようと、秘書や官僚が民主党に群がっていると言うではないか。これでは二年前の小泉チルドレンの二の舞だ。
  私は単純な反米主義者ではない。米国の偉大さと恐ろしさを知った上で、その米国との関係を重視しながら米国からの自主、自立を実現すべきであるという考えを持つ保守・現実主義者だ。日本国民の利益を最優先する外交を行うべきであると考える国益優先論者である。
  そのような考えに立ったとき、小沢民主党の取るべき落としどころはおのずと明らかになっていく。それについて、次回のブログで書いてみる(続く)。
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