天木直人の公式ブログ

    迷走するテロ特措法延長問題の核心を衝くーその2

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 迷走するテロ特措法延長問題の核心を衝くー最終回
  福田自民党総裁が誕生した。首班指名、組閣を経て、いよいよ福田自民党と小沢民主党の本格的な国会論争が始まる。そしてその先に解散・総選挙がまっている。自民党にとって文字通り後のない国会であり、民主党にとっては政権奪取を賭けた正念場の国会となる。
 既存政治を全否定する私でも、これから始まる福田自民党と小沢民主党の歴史的攻防にワクワクした思いで注目せざるを得ない。国民不在の政治劇ではあるが、どちらが政権を取るのか、そしてその政権がどのような政策を国民に提示するのかは、我々の生活に直結する。すべての国民は監視していかなくてはならないのだ。
  民主党は、国民の怒りの火を消さないためにも、戦略的には年金問題や政治とカネの問題で自民党を攻めるべきであろう。政策的には、地方を切り捨て、経済格差社会をもたらした小泉改革の行き過ぎをとがめ、その修正を迫るべきである。
  だから民主党はテロ特措法延長問題に固執してはならない。テロ特措法延長問題は国民の関心の中心ではない。その議論は国民の広い共感を得る性格のものではない。これが私の持論であった。
 しかし外交は私の関心事だ。おまけにここへ来てテロ特措法のいかさまが露呈された。海上補給の欺瞞こそ、米国のイラク攻撃を正しいと言って支持し、サマワへ自衛隊を派遣して憲法9条を蹂躙した小泉前首相の欺瞞を象徴的に表すものである。
  ひょっとして福田内閣を窮地に立たせる問題に発展するかも知れない。だから最終回は、テロ特措法延長問題を、果たして福田自民党はどう乗り切るのか、その事について書くこととする。
(1) 福田自民党は海上補給の継続にどこまで固執するか
  正直言って福田自民党の対応について私はわからない。何があっても海上補給の継続にこだわるのか、それとも海上補給が一時的に中断されても仕方ないと思っているのか。
  小泉、安倍両首相の時であれば対決姿勢で臨んだであろう。しかし福田自民党は違う。民主党を参院で勝たせたのは国民であり、その結果参院で多数になった野党があくまでも反対するのなら、無理をすることはない。無理をして国民の反発を招き、政権を手放すような事があってはならない、自民党が政権を維持し続ける限り日米同盟はゆるがない、そのように米国に説明して米国の了解と支持を得ようと考えるのではないか。私であったら間違いなくそうするだろう。
  米国が理解を示してくれるなら勝ちだ。海上補給を停止する責任は自民党にはない。その責任は野党にあると言うだけで良い。海上補給が打ち切られで生ずる論争において、野党の国際的な無責任さをあげつらえばいい。
   しかし、果たして米国は海上補給の中断を了承するだろうか。そのような福田自民党の態度に理解を示すだろうか。福田氏の発言や、米国との関係を重視してきたこれまでの自民党の政治家、そしてなによりも対米追従をあらゆる外交において最優先にしてきた外務官僚は、米国の要求を否定できるか。そう考えると、やはり政府・自民党はあくまでも海上補給の継続に固執するに違いない。その前提で議論を進めていく。
(2) 国連決議の工作に奔走した政府・外務省
  小沢民主党が延長反対の根拠にあげたのが米国のアフガン攻撃が国連決議によって承認されたものではないという事だった。
  私はこの理由付づけは決して得策ではないと思った。なぜならば国連決議などというものは、所詮は政治的妥協の産物であるからだ。しかもその作成過程や条文解釈はすべて政府・外務省に独占されている。国連決議をめぐる論戦は野党に勝ち目はない。
   もっとも、この小沢発言に振回されたのは政府・外務省であった。政府・外務省は早い段階から国会決議の裏づけを模索し、浅知恵でたどり着いた結論がアフガンへの国連治安支援部隊(ISAF)の延長を決める決議づくりに便乗することであった。日本の海上補給に関する謝意表明の文言を挿入するという低次元の外交工作を行なった。
   それがバレたばかりか、不快感を示したロシアが棄権にまわり、また、コンセンサスで安保理決議が成立しなかった事は遺憾だったとする中国代表の批判発言がなされる始末である。政府・外務省にこのような醜態を演じさせた訳だから、小沢発言も奏功したということかもしれない。
   米国の片棒を担ぐようなみっともない国連外交をわが外務省が行うことは今に始まったことではない。今から4年半前、米国のイラク攻撃を正当化させる国連決議づくりで安保理が割れていた時、日本は安保理メンバーでもなかったのに会議場外を走り回り、弱小の非常任理事国代表をつかまえては賛成するよう無駄な説得工作をした。
   しかし、たとえ政府の国連工作が作為的であり、それが醜態だと批判したところで、国連決議が成立し、その解釈が政府に独占されている以上、政府・外務省はそれを強引に解釈し、ゴリ押しすることは可能なのである。
  テロ特措法の延長が認められず、そして新法の成立が間に合わなくても、国連治安支援部隊の国連決議を根拠に、政府・外務省が海上輸送を継続させることはありうる。この点については後述する。
(3) テロ特措法の延長か新法か
   福田氏の発言を聞いていると、福田自民党はやはり正攻法で何らかの立法措置を講ずる事に全力を傾けるようだ。おそらく新法を提案してくるだろう。
   民主党は、延長法案にせよ、新法案にせよ、それを直ちに否決し、自民党に再議決を迫るべきだ。まちがっても審議を長引かせ、時間切れとなって海上補給の中断を招くような事態を招いてはいけない。ましてや民主党の方から提案などしてはいけない。
   審議を引き延ばし時間切れになるようなことになれば、海上補給を出来なくさせたのは結局民主党である、などという批判を招く口実を与えることになる。民主党は、再議決権を行使してまで強硬に法案を成立させるように自民党を追い込まなければならない。自民党にとってもこれは覚悟の要ることだ。福田自民党も強引だ、対米従属だ、という事を国民の前で見せつけることになる。選挙対策としてこれは避けたいに違いない。
  小沢民主党がテロ特措法延長に反対を言い出した時、私が主張した「落としどころ」がまさにこれであったのだ。
(4) 法律がないままに政策を行なう政府・外務省の欺瞞
   これから書く事は誰も指摘しないことである。そして今回のテロ支援法延長に際して現実に行なわれるとは限らない。しかし問題意識として念頭に置いておいたほうがいい。
   そもそも米軍再編に対するわが国の協力は、実は法的根拠のないままに、政府・外務省が政策決定一つで実施しているものである。
   今から数年前、外務省が米国から米軍再編への協力をはじめて求められた時、外務省は仰天した。それに応じる事は明らかな違憲であり、日米安保条約にさえも違反しているからである。そのためには改憲、改安保条約が必要だ。しかしこれは容易ではない。だからこそ米側の要求への返答をズルズル遅らせたのだ。
  しかし米国の怒りが爆発して結論を出さねばならなかった。小泉前首相もしびれをきらせた。そこで考え付いたのが、日米安保条約とはまったく別の論理である。つまり「世界の平和」に貢献する為に日米が協力するという事はあたりまえの事だ。それは政府が占有している政策決定の裁量の中にある、日米間の政策宣言、共同声明などで自由に行なえる、こういう論理を持ち出して押し通した。
  これは国民の財産や人権に関わる政治決定は法律に基づかなくてはならないという民主主義、法治主義の大原則に背馳するものである。しかも、政府はこの違法行為を、既に1997年の日米新防衛指針(ガイドライン)決定の際に犯している。すなわち日米両国は、1978年以来堅持してきた「日本への武力攻撃の際の日米協力」に加え、日本の有事とは関係がなくても日本の周辺事態における米軍の活動に日本側が協力するという違憲状態(集団的自衛権発動状態)を、日米外務・防衛閣僚間の政策合意だけで決定してしまったのである。国会における安全保障論議が急速に空疎化していったのもこの時からであった。米軍再編の具体的協力が進むにつれて、今後はガイドラインだとか声明などという行政間の決定で、法律の根拠なくした政策がどんどんと積み重ねられて行くに違いない。
  と、ここまで書いてきて、総裁選で麻生氏が197票を得票したというニュースが流れてきた。予想以上の集票だ。麻生氏の力も温存された。私が予言したとおりだ。小泉、安倍政権とは異なり、福田自民党は自民党の総力を結集して党の建て直しをはかろうとするに違いない。小沢民主党にとっても正念場がきたという事だ。
  
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   迷走するテロ特措法延長問題の核心を衝くーその2
  続編を書くのが少し遅れた。他意はない。コンピューターの接続に不都合が生じ、直すのに手間取った、それだけである。
  しかしその間にピースデポによる貴重な情報が発見された。国連決議をめぐる外務省の姑息な工作も露見した。私の書くネタも増えた。
  (1)小沢民主党にとっての落としどころ
  小沢民主党にとって今なすべき最大の課題は、自民党を早期解散・総選挙に追い込んで、選挙による政権交替を確実なものにすることである。
  そうであるならばテロ特措法延長問題への対応も、おのずとその観点から落としどころを見極めるべきである。
  この問題をきっかけに、対米従属外交を見直し、さらには圧倒的に違憲状態に進みつつある日米軍事同盟に歯止めをかける、それが小沢民主党の立場であり、その観点からテロ特措法に反対しているのであれば、私はそれを歓迎し、全面的に支持する。議論も正攻法で行なうべきである。
  しかし、繰り返し書いてきたとおり、今の民主党は決してそういう政党ではない。しかも小沢代表自身が大変身したというのなら別であるが、少なくともこれまでの日米関係に関する政治家小沢一郎の言動は、決して日米軍事同盟に反対する考えに基づいたものではない。
 そうであれば、何があっても補給活動を停止させるという事に固執して、自民党との間のガチンコ論争に巻き込まれる愚を犯すべきではない。
  海上補給活動を中心としている現行のテロ特措法は、少なくとも現時点では延長するわけにはいかないと繰返すだけでいいのだ。そう言ってボールをすべて、速やかに自民党にゆだね、補給が継続されようと、中断されようと、(民主党は反対であるが)その判断は自民党が国民に責任をもって決めるべきだと突き放せばいいのである。
 (2)アフガンの治安・復興は米国のやり方では成功しなかった
 具体的にはどうすればいいのか。それはまず自民党の対応を見極めることだ。テロ特措法の延長であれ、新法をつくるのであれ、自民党はどう対応するのであろうか。もし自民党の対応が何があっても海上補給を継続するものであれば、自民党はそれに見合ったリスクを犯すことになる。民主党は「海上補給を継続する必要性と妥当性が認められない」と繰返すだけでよい。間違っても民主党から先に対案を出すような事をしてはいけない。
  反対の理由は、「米国主導の軍事優先の政策では、アフガンの安定、復興はおぼつかない」という、誰の目にも明白な現状を指摘し、そうであるならば補給活動を無反省に継続することは無責任だ、とこの一点を強調すればよい。あらゆる国際情勢がこの主張に味方している。これからも米国の行き詰まりがより明白になっていく。
(3)ピースデポの告発は民主党にとっての最強の援軍である
  それに加えて給油活動がイラク戦争に流用されていた事を決定付けるあらたな証拠が提示された。これは民主党にとって大きな追い風である。
  アフガンでの活動支援のための補給活動が、実はその殆どがイラク戦争に使われていた、しかもそれを知った上で行なっていた、もしそれが事実であれば、沖縄密約などに象徴される「国民を欺き続ける日本外交」が、また一つ明るみに出たという事だ。その持つ意味は極めて深刻である。その時点ではわからなかった、とか、給油量の記載ミスであったとか、給油される石油を厳密に区別することはできない、などという性格のものではない。もっと確信的なものだ。日本はイラクに派兵する事は出来ない。それは憲法違反を犯すからというだけではない。自衛隊の血を流すわけにはいかないのだ。だから給油でイラク戦争を支援するほかはないのだ。梅林氏が言っている、「オイルローンダリング」なのだ。
  小沢民主党はこの問題をもっと重視すべきだ。政府、外務省に資料提供したり、国会で追及したりするだけでなく、シーファー大使を招致して国民の前で米国に問いただすべきである。シーファー大使は日本国民の前で、テロ特措法の延長ためにはあらゆる情報を提供すると約束した。はたして米国大使は日本国民に嘘をつけるかどうか。「この問題が明らかにされない限り給油活動の継続を認める訳にはいかない」というのは、誰が聞いても納得の行く理屈だ。反論できない理屈だ。給油活動の中断の責任を小沢民主党のせいに出来なくなる。
   しかも福田次期自民党総裁は当時官房長官であった。そして流用の事実は一切ないと明言していた。この問題は福田新政権が就任して真っ先にテロ特措法延長を行なおうとする際の、最大の問題となるに違いない。
   対応次第では自民党は追い込まれる。果たして福田自民党はどう対応するつもりだろうか(続く)。
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