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  わが国に真の対中外交はあるのか

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 わが国に真の対中外交はあるのか
 わが国に真の対中国外交があるのか。今回の福田訪中にどのような意味があったのか。
 結論から言うと、福田首相や外務省は年内に急いで訪中を済ませておきたかった、ただそれだけの訪中であったと言うことだ。小沢民主党代表に先を越されたということもある。しかし、それよりも来年に入れば国内政治で訪中どころではなくなる。いま訪中するしかなかったのだ。
 それにしても、小沢民主党にしても福田首相にしても、何故訪中を競い合う理由があるのだろう。解決を急ぐ懸案があるとすれば東シナ海問題である。しかし小沢民主党訪中団はこの問題を意図的に回避した。福田訪中ではさすがに議題にあげられた。そして政治決着が期待された。しかし激しい交渉をした気配はない。
 共同記者会見で福田首相は「積極的な進展が見られた」と言っているが、温家宝首相は「協議は一歩前進」しただけだと言った。要するに首脳間ですら政治決着できなかったのだ。
 その一方で小沢訪中も福田訪中も競って日中友好関係を演出した。その日本側の都合に中国側は喜んで全面的に協力した。中国側に失うものはなく、日本側に得るものは何もない。
 それどころか、日中友好を強調するあまり、福田首相は台湾を切り捨てる発言までした。
 この台湾問題に関して言えば、既に21日にライス米国務長官が、台湾の陳水偏総統が進める台湾の国連加盟の是非を問う住民投票について、「挑発的な態度だ」などと痛烈に批判した。米国が台湾を切り捨てたからこそ、日本も対米追随よろしく米国の後について台湾を切り捨てる政策に出たのだ。
 この台湾問題については10月31日の産経新聞「正論」の欄で外務省OBの岡崎久彦氏が次のように書いていた。
・・・台湾の国連加盟住民投票は、来年行われる台湾総統選挙における民進党と国民党の政争である。住民投票で台湾名での国連加盟申請が認められれば選挙で民進党に有利に働く。国民党に勝たせたい中国と米国が内政干渉をしているのだ。内政干渉は近代国家間で厳しく禁じられている。日本はそれにつきあう法的、道義的理由はまったくない・・・
  日米同盟至上主義者の岡崎氏と私は考えが違う場合が多い。しかしこの台湾問題不干渉に限ってはまったくその通りだと思っている。たとえ中国が日本に反対してくれと言ってきたとしても、外交の原則を曲げるわけには行かない、日本は内政干渉を当然のように行う米国とは違うのだ、とやんわりと断るべきなのだ。それで中国が怒るようであれば中国が間違っているのである。
  因みに台湾有事は、北朝鮮の暴発と並んで、日本政府が在日米軍の必要性を繰り返し強調してきた理由の一つであった。その台湾有事が、米国の対中重視政策によって遠のいた。北朝鮮の暴発のほうは、米国が対北朝鮮宥和政策を取り始めた時点でとっくに消えている。かくして在日米軍は周辺の脅威から日本を守る為にあるのではない、その事が決定的に明らかになったのだ。
  それでも福田訪中はよかったと私は思っている。小泉元首相がもたらした愚かで不必要な対中喧嘩外交は、小泉自身の個人的うさ晴らしになりこそすれ、国際政治の観点からは不要な軋轢を日中間に生んだだけの愚かな外交であった。それに閉口した多くの国民や経済的利害を優先する経済界に押されて、安倍前首相は訪中し、氷を溶かした。しかし安倍訪中は小泉元首相によって凍結された首脳レベルの交流を回復したに過ぎない。たとえ安倍政権が続いていたとしても日中関係はそれ以上進まなかったであろう。
  少なくとも福田首相は日中友好関係を進めようとしている。それはいいことだ。そして福田首相が真の日中関係を築けるかどうかは、桜の季節に予定される胡錦涛主席の訪日などを通じる今後の対中外交のなかで明らかにされる事になる。
  言葉だけの日中友好を謳いあげる事は誰でもできる。重要な事は、友好関係を取り戻した中国との間で、どこまで利害が衝突する問題について対等な交渉ができるかだ。それを行う覚悟があるかだ。中国の不当な要求を跳ね返し、日本の正当な要求を中国に飲ませる、そのような厳しい交渉をしてもなお揺るぎのない日中友好関係を築く事ができるかである。
 それが出来て初めて、「戦略的互恵」外交と言える。福田対中外交はその時初めて正しく評価される事になる。もっともその時まで福田首相はこの国の指導者にとどまっていられるかどうか。それが最大の問題である。
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