天木直人の公式ブログ

「好戦の共和国アメリカ」を読んで日米同盟の将来を考える

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  拉致問題といえば、最近はニュースになるのは、もっぱら横田早紀江さんによる国民への必死の訴えか、拉致被害者を救う会の調べによる拉致被害者のあらたな情報である。
  横田早紀江さんの苦しみを思うにつけ胸が痛む。
  拉致被害者の消息に関するあらたな情報が、日本政府の調査ではなく、民間NGOによって発表される事に、矛盾と苛立ちを覚える。なぜ日本政府が国民救出の先頭に立てないのか。
  そう思っていたら、11月7日の東京新聞のコラム「大波小波」の中で、拉致被害者家族連絡会の元副代表であった蓮池透さんが独占インタビューに答えた、という記事を見つけた。
  蓮池透さんの名前とは懐かしい。一時は毎日のようにメディアに出て政府に物申していた蓮池透さんであったが、弟の蓮池薫さんが救出された後はぱったりとメディアに出る事はなくなった。
  その蓮池透さんが、コンビニなどに置かれている「実話ナックル」という雑誌の11月号のインタビューで率直に話した、というのだ。
  「実話ナックル」という、一般国民にはなじみの薄い雑誌の記事を、全国紙である東京新聞が引用するのは異例だが、その事は、とりもなおさずこのインタビュー記事が注目すべき内容を含んでいるという事だ。
 私はいまだ「実話ナックル」のインタビュー記事を読んでいないが、東京新聞の次の書き方を見るだけでも、かなり衝撃的な事を蓮池透さんが述べている事は想像できる。
 ・・・このインタビューを読めば、(蓮池透さんが急にメディアの最前線から姿を消した)その理由が何となくわかる。
   家族を取り戻したいとの素朴な思いが、結局は金正日体制崩壊を目標とする政治的イデオロギーに回収されてしまったこと・・・
   政治決着の局面を常に(裏切る形で)反故にしてきたのは、実は北朝鮮ではなく日本の側だった、
 などを、蓮池さんはとても真摯な口調で語っている・・・
  しかし、蓮池透さんの、この真っ当な主張は、なぜか大手新聞や週刊誌、テレビの報道番組などからは、ほとんど黙殺されているようだ・・・彼(蓮池透)が明かす水面下の事実や主張が広まったら困る人がいるのだろうかと勘ぐりたくなる・・・
  この東京新聞の記事は、蓮池透さんの意見を真っ当な主張であると言い、そのような主張を述べるのは岩波の「世界」と「週刊金曜日」くらいだ、と書いているから、強硬な経済制裁に固執する日本政府の立場を批判し、北朝鮮との国交正常化を急ぐべきだ、と主張する立場に立っている事はあきらかだ。
  「経済制裁強化ばかりを叫んでみても実効力はない。むしろ逆効果だ」、という意見には私も同感する。
  しかし、拉致被害者救出より日朝国交正常化を急げ、とする「世界」や「週刊金曜日」や、そしておそらくこの東京新聞の筆者の意見には、私は賛同できない。
  だから私はこのコラムの主張自体に特段の共感を抱いたわけではない。
  私がこのコラムで注目したのはただ一点、すなわち「政治決着」を反故にしてきたのは実は日本側だった、という蓮池透さんの告白である。
  これはどういう意味であろうか。
  私はこう解釈している。
  すなわち突然の小泉訪朝で発せられた日朝共同宣言の裏では、北朝鮮側が一方的に通告した拉致被害者の救出と、北朝鮮側のなんらかの形の謝罪と引き換えに、国交正常化を実現し巨額の経済援助を供与する、という了解が日朝間にあったのだ。
  日本側としては、本来は、その時点でノーベル平和賞に値する歴史的和解となるはずであった。
  しかし、救出されなかった多くの拉致被害者家族の慟哭と、それに共鳴する世論の声に圧倒され、さすがの小泉元首相もその密約を反故にせざるを得なかったのだ。
  更に言えば、蓮池、地村、曽我の家族の釈放に際しては、日本に一時帰国させた後は再び北朝鮮に送り返すという約束があったにもかかわらず、これまた世論の声に押されて、日本政府、外務省はその約束を裏切ったのだ。
  私は思う。もはや日本政府、外務省は、小泉訪朝時のすべてを国民の前で明らかにし、これからの対北朝鮮外交は、国交正常化、援助供与と引き換えに、拉致の全貌を明らかにし生存者すべての釈放を求める同時決着しかない。
 そのような対北朝鮮外交を、国民の目の前で、国民の支持を受けて行う事しかない、と。
  いつまでたっても米国の方針に期待するだけでは、拉致問題の解決はおぼつかない。
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「好戦の共和国アメリカ」を読んで日米同盟の将来を考える

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 田母神問題が起きて以来、歴史のことばかり書いて恐縮だが、やはり史実を知る事は今を語るときに重要だと思う。
 週末をかけて「好戦の共和国アメリカ」(油井大三郎著 岩波新書)を通読した。
 その感想の一端を紹介したい。
 この新書は、著者自身がそのあとがきで書いているように、オバマ新大統領が誕生したら米国の好戦性は果たして変わるのか、という問題意識をもって、アメリカの戦争史を振り返ったものだ。
 その意味で極めてタイムリーな本である。
 日米同盟を考える上で必読の書である。
 この書を企画してから出版にこぎつけるまでに、著者は6年もの歳月をかけている。
 現代史を専門とする著者は、植民地時代や19世紀のアメリカ史については知識不足であったが、「建国期をきちんと勉強しないとアメリカはわからない」と教える恩師の言葉に従って、植民地時代や独立革命期をあらためて研究した上で書いたという。
 その学者の労作を、わずか780円の新書で通読できるのだ。
 十分理解したのか、学んだ事をどれだけ覚えていられるか、そこが問題である。
 しかし、繰り返し述べているように、我々は学者や専門家の労作を通じて、歴史の一部を知りうる。
 著者に感謝しつつ、同時に米国の歴史に関するおびただしい研究のほんの一部を知りえたに過ぎない、という謙虚な気持ちで、われわれは歴史認識に向かわなくてはならない。
 そう言いながら、いつものように独断的な私のまとめを以下に羅列してみる。
 1.建国以来の230年余りの米国の歴史は、まさに戦争の歴史であった。
 2.「テロとの戦い」に見られる市民、女性、子供への無差別攻撃の原型は、先住民(アメリカインディアン)との戦いに見つける事ができる。
  その背景にある考えは、彼らを「野蛮、悪魔」視、差別視することであり、それによって虐殺を正当化する事である。これこそが米国の戦争に通底するものである。
 3.米国の指導者の中には、好戦的な指導者だけでなく、反戦思想を持っていたと思わせる指導者も勿論いた。
   しかし、リンカーン大統領からケネディに至るまで、好戦的でないとされる指導者も、最後は好戦的な米国の指導者に終わってしまう。そうでなければ政治的にもたない。
 4.米国の戦争を国民の大勢は認めてきた。反戦思想家や運動家は存在し、反戦、厭戦機運が高まる事はあっても、彼らが国民の大勢になることはなかった。
 5.国民を好戦的に纏め上げるため、情報操作(米西戦争のきっかけとなったメイン号事件、ベトナム北爆のきっかけとなったトンキン湾事件、など)とスローガン(「アラモ砦を忘れるな」からはじまって、「パールハーバーを忘れるな」を経て今は「9・11を忘れる」)が使われる。
 6.これを要するに米国の戦争は、①軍事力による領土や市場の拡大を当然視する、②軍事的な「勢力均衡」が崩れた場合はただちに軍事力に訴える、③国土や国民の防衛のために戦争を正当化する④「民主市議のために世界を安全にする」という理想主義で戦争を肯定する
 という傾向が米国の戦争に読み取れるという。
 そして油井氏は、イラク戦争を批判する一方でアフガン戦争の完遂を主張するオバマ次期大統領に、このアメリカにおける「好戦性」の根深さを感じざるを得ない、と言う。
 このような歴史的考察もさることながら、私はこの著書で見つけた次のようなエピソードに新たな発見の喜びを感じるのである。
 つまり東京大空襲を主導したカーチス・ルメイは、ベトナム戦争では空軍参謀長になっており、北爆の指揮をとっていた。
 そのルメイが北爆によって「ベトナムを石器時代に引き戻す」と豪語したというのだ(「好戦の共和国アメリカ」191ページ)。
 どこかで聞いた事のあるせりふだと思ったら、アーミテージ元国防、国務副長官のせりふだった。
 パキスタンのムシャラフ大統領が「米国の言う事を聞かなければパキスタンを石器時代のようにするぞ」、と脅かされたとメディアに語ったあのせりふだ。
 そういえばアーミテージもまたベトナム戦争で獰猛に戦った一人であった。
 そのような米国と日本が真の軍事同盟関係を維持することが日本にとって最善なのか。
 そもそも米国は日本を真の同盟国と思っているのか。
 日本政府関係者は、米国が日米同盟関係を米英同盟関係のようにしたいと言う言葉を真に受けて歓喜している。そうありたいと願っている。
 しかし、米国が本心からそう言っているのか。
 1902年以来維持してきた日英同盟を英国に破棄させたのは米国であった(同、137ページ)。
 日本は米国という国をを正しく理解し、国民にとって最善の日米関係を構築していかなければならない。
 オバマ大統領の誕生をその契機にしなければならない。
 誰が米国の大統領であって同じだという主体性のなさが、正しい筈はない。
 
 
 
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