天木直人の公式ブログ

 内部留保論争ふたたび

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  警察庁は12月25日、「もみじマーク」表示を罰則つきで義務づけている現行の道路交通法を改正する試案をまとめ、年明けの通常国会に提案することを決めたという。
 このニュースを報じる26日の産経新聞はその背景を要旨次のように書いている。
 ・・・本年6月から施行されてきた改正道路交通法は、それまで努力義務にとどまっていた「もみじマーク」表示を、75歳以上は義務制とした。それがわずか半年あまりで異例の再改正になった背景には「高齢者いじめ」として世論に激しく批判された後期高齢者医療制度の影響がある・・・
 一度つくった法律や政策を、あっさりと修正、撤回することは確かに極めて異例だ。政権政党の威信と官僚の責任問題がかかっているからである。
  それを行なわなければならないというのは、よほど世論の力が政治に影響力を与えるようになったということだ。
  しかし政府や官僚が世論の圧力に常に屈するわけではない。それどころかこの「もみじマーク」のケースは例外的である。それは事柄がたいした話ではないからだ。
  その証拠に後期高齢者医療制度については、これほど世論の反対が強いのにいまだに撤回する気配はない。説明不足だった、国民の更なる理解を促す、などと繰り返すばかりだ。
  この後期高齢者医療制度の二の舞となるのが裁判員制度である。
  私はかつてこのブログで、見ているがいい、裁判員制度導入の問題は、第二の後期高齢者医療制度問題になる、と書いた。
  その意味は、官僚の勝手な論理でつくられた法案が、官僚に丸投げの国会議員の賛成であっさり成立する。そこまではよかったが、いざ実施の段階でその欠陥に国民が気づき、猛反対の嵐が吹きすさぶ、という事である。
  案の定この裁判員制度は、それから徐々にその中味が国民にわかるようになって、今では至るところで反対の声が聞かれるようになった。
  それはそうである。そもそも裁判員制度を急いで導入しなければならない積極的な理由はどこにもない。その一方で問題点は山ほどある。
  なにしろ司法の専門家の間で続々と異論が提起されているのだ。
  象徴的なのはサンデー毎日新年号(1月4-11日号)に書かれている竹崎最高裁長官と司法修習の同期生である高山俊吉弁護士の口論である。一体何なんだ、このお粗末は。
  
  裁判員制度導入にこだわる者たちの最大の問題は、選ばれた国民の4割もが辞退したいと言い出してきたことだ。おまけに反対者の中から訴訟まで提起されている。
  そんなことならはじめから希望者だけの任意制にしておけばよかったと思うのだが、そうすれば希望者がなくなって制度自体が成り立たない、という背景があったという。笑い話のような裁判員制度導入である。
  その一方でこんな投書があった。12月3日の朝日新聞投稿欄にあった81歳の匿名の投書である。その投書は裁判員に選ばれた通知を受け取った喜びを次のように書いている。
  ・・・裁判官を目指して日夜励んだがついに司法試験に合格できず法曹への夢はあきらめた。そこへ50年後にまたとない機会に恵まれた。悪い事をすれば罰を受けるのは当たり前だ。私なりの正義感で善悪を判断したい。私はいまとても胸躍る思いがしている・・・
  こういう者もいるのである。こんな裁判員に裁かれてはたまったものではない。
  裁判員制度の導入は見合わせたほうがいいと思う。
  ところがこの裁判員制度を導入した張本人が11月25日に最高裁長官となった竹崎博允氏であるという。当時の新聞が報道していたところによれば、当時東京高裁長官であった竹崎氏が、最高裁判事を経る事なく64歳の若さで一気に最高裁長官に抜擢された理由が、この裁判員制度を定着させる事にあるという。70歳の定年まで6年間もあるから十分な年月はある、というのだ。
  これでは面子にかけても裁判員制度を撤回するわけにはいかない。
  しかし、世の名は面白くできている。金融危機が及ぼす超ど級の国民経済の困窮は、間違いなくこの裁判員制度の実施にも影響を与える。国民はそれどころではないのだ。これはさすがに想定外であったに違いない。
  果たして政府は来年5月に予定通り裁判員制度の実施を強行できるのか。けだし見ものである。
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 内部留保論争ふたたび

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 12月26日の産経新聞に来年の春闘は労使の厳しい対立が予想されるという記事があった。 私もまったくそう思う。
 正規、非正規を問わず雇用問題は待ったなしだ。それに加えて賃上げ要求も先鋭化する。雇用か賃金かという状態を通り越して雇用も賃金も同時に満たされないと生活は出来ない、そこまで労働者の生活は追い込まれているのだ。
 しかし企業も生き残らなければならない。
 必然的にこの労使対立の核心は、昨日のブログで指摘した大企業の内部留保の分配問題になる。
 年明け早々にもこの問題が連日のようにメディアで取り上げられる事になるだろう。それを予兆させるような記事が12月26日の毎日新聞「論点」に掲載されていた。
 政府への正しい政策を提案する大竹文雄阪大教授は次のように述べている。
 「・・・02年以降の景気回復期に企業収益が増加し続け株価が高騰したにもかかわらず、労働者の賃金は上昇しなかった事を忘れてはならない。好況期に積み上げた内部留保を使って企業が雇用を維持するのが筋であろう・・・(企業側が)内部留保では、雇用や賃金を維持できないというのであれば政府の出番である。好況期の過大な内部留保から便益を受けた資本家や高所得層への課税を強化し低所得層へ所得を再分配するか、公的支出を増やして、職を失った人たちを雇用すべきである・・・」
  労働者、とくに非正規労働者側を代表して関根秀一郎派遣ユニオン書記長は次のように労働者派遣法の抜本改正を主張する。
  「・・・不況はたんなるきっかけに過ぎない。いつでも雇用調整可能な労働力として派遣労働を拡大したのだから、ひとたび解雇の弁を開けばいつでも大量の失業者が生み出される労働市場が形成されていたのだ・・・(それはあたかも)部品の在庫を置かずに必要な時に必要なだけ部品を取り寄せる「ジャスト・イン・タイム」と同様の事態を招いた・・・しかし労働者は部品ではない。余剰だからといって切り捨てられたら生きていくことができない・・・(急がれるのは)労働者派遣法の抜本的な改革である・・・」
 これらに対し川本裕康日本経団連常務理事は次のように語る。
  「・・・(各企業には、労働者の諸権利確保を定めた法令上のルールを遵守し、雇用確保に向けて可能な限りの努力をお願いしたいが、)経営環境が危機的状況に陥っている企業では、その努力にも限界がある。そこで官民が協力して雇用のセーフティネットの充実を急がなければならない・・・一刻も早い景気回復こそが最大の雇用対策である・・・」
  この議論はそのまま春闘交渉に直結する議論である。
  重要な事は湯浅誠がその著書「反貧困」で言っているごとく、相手を引きずり下ろす競争ではないということだ。
  そして、これが最も重要な点であるが、これから本格的に襲ってくる金融危機の影響は、従来の考え方を革命的に変えていかなければ対応できないほど深刻であるという事だ。
もはや皆が助け合って行かなければ共倒れになる、そういう共生の認識こそ必要ではないのか。
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