天木直人の公式ブログ

 独立外交官との面談を終えて

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 駆け足でニューヨークを往復してきた。英国の元外交官、カーン・ロス氏と面談するためであった。
 その事のために、ただその事だけの為に、片道13時間程の旅をとんぼ返りしてきた。安いパック旅行客の一人として団体客の中にうずもれて。
 そこで得たものは想定していた通りだ。この事については私のメルマガで折にふれて書いていくつもりだ。
 対談の模様はこれから編集していずれ読売テレビ系で放映されることになる。
 一言で表すと、勇気、困難、そして希望である。
 勇気とはもちろんカーンのとった行動の事だ。カーンが英国の優秀な外交官であったに違いない事は、その言葉の端々に感じられた。
 英国の外交官にあこがれ、それを誇りにしていた彼が、国益に縛られた外交の限界に気づき、輝かしい未来を捨てて独立外交官になった。
 それがいかに勇気の要った行動であったかは、彼の著書「独立外交官」を読んでわかってはいたつもりであったが、あらためて話を聞いて、実感した。
 彼は言っていた。英国外務省と正面から対峙することになった、と。妻と両親の理解と支持がなければできなかったに違いない、と。
 二つ目には、彼が取り組んできた「独立外交官」という活動の困難さである。
 彼の関心は、国益がせめぎ合う政治紛争の中で、一握りの大国とその他の小国との間に存する不正義、不公平を、いかにして是正していくか、ということにつきる。
 それ以外の仕事、つまり人道支援や経済開発などは、自分の仕事ではない。あくまでも政治紛争だ、と。つまり国連安保理事会の仕事と抗していく事だ、とまで言った。
 当然のことながら日本が目指そうとしている安保理常任理事国入りについては否定的だ。安保理外交そのものに限界がある中で、その一員になることにどういう意味があるのか、と。
 私の質問は、もっぱら独立外交官の将来に及んだ。はたしてその未来は開けているのか、と。
 この事に関しては彼もその困難性を率直に認めた。言葉では皆協力的な事を言うが、国益を背負った外交官が公に支援してくれるはずはない。しかも対象国はすべて弱者だ。対価を期待する事はできない。資金集めが最大の課題だ、と。
 それでも、と、彼は言った。ミリバンド英外相が自分に好意を示し始めたと。
 約5年前の04年の秋に、たった一人で立ち上げた独立外交官。初めて手にした寄付が70万円程度。それが今ではスタッフが12名、資金が2億円ほどになった。これを自分は誇りに思う、なんとか資金を五億円ほどまでにしたい、と。
 別れ際に、「成功を祈る」と差し伸べた私の手を強く握り返したカーンは、「心配はいらない。必ず成功させる。そうでなければ独立外交官になった意味はない」と、笑顔で答えた。
 そこに私は希望を感じた。独立外交官の未来を見た。
 帰国した私を待っていたものは日本の政治の混迷であった。
 わずか4日ほどの不在の間に、政治状況は、ますますつまらないものになりつつあるような気がしてならない。
 自民党に未来はない事はそのままだけれど、なぜか民主党対する熱気が感じられない。
 小沢代表の12区不出馬は、想像していたとはいえ残念だった。そこに小沢一郎の政治家としての正体を見た。
 民主党の対米政策のブレを知った。想定できることとはいえ、そこに民主党の限界を見た。民主党では正しい対米外交はできない。
 これから8月30日までは長すぎる。政治に対する不信はどんどん膨らんでいくに違いない。どの政党も負け合い競争をする事になる。
 日本の政治は長い混迷の時期に入ろうとしているかのようだ。
             
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