天木直人の公式ブログ

菅民主党政権の真贋を問うアスベスト問題

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 ひとり東京新聞だけが奮闘している。こういう記事こそ本物のスクープ(特ダネ)というのだ。
 8月18日の東京新聞が一面トップで、建築廃材の中に含まれている有害物質アスベストが全国で野ざらしになっている事実をすっぱ抜いた。
 更に東京新聞は20日の紙面で国交省はその深刻性に気づいていながら無策を決め込んでいると報じた。
 これは大きな社会問題である。
 私がアスベスト問題に関心を持ったのは、あの耐震偽装問題を告発したイーホームズの藤田東吾社長が、かつて私に次のように述べた事があったからである。
 耐震偽装問題で国交省(旧建設省)と協議していた時、当時の国交省の官僚が頭を痛めていたのは、耐震偽装問題よりも深刻なアスベスト問題であったのです、と。
 そして耐震偽装問題の解決策として急遽建て替え工事が始まったが、あれは耐震補強工事とともにアスベストを除去する工事でもあったのです、と。
 それを聞いたとき私は直感的にアスベスト問題の深刻さを感じ取った。
 元官僚の私は官僚の考える事、する事が手に取るように分かる。
 藤田社長が何気なく口にした言葉こそ、今日の東京新聞のスクープに見られるアスベスト問題を物語っているのだ。
 アスベスト問題といえば、報道されるのは、すべて過去のアスベスト被害で
あり、その被害者の救済と補償に関する訴訟ばかりである。
 その一方で、国民にとってより深刻なアスベスト問題は、過去に推奨して使われたアスベスト材を、いかに安全に除去し、処分していくかということである。
 ところがこれがまったく報道されない。国民に知らされない。あたかも大きな圧力が働いているかのようだ。
 当時まだその使用が認められていたアスベストが多く含有している建築物はどんどんとその建て替え時期が到来しつつある。
 今後長期にわたって大量に出てくるこのような老朽建築物を廃棄、建て替え
る時に、必ず必要になるアスベスト粉塵対策とアスベスト汚染廃材の適切処理。
 これこそが行政が抱える現在のアスベスト問題なのである。
 ところがこれに対する行政の対応がまったくなっていないのだ。
 政府・官僚はなぜ対応が遅いのか。なぜアスベスト問題を国民から隠蔽しよう
とするのか。
 それはもちろんアスベスト問題が厄介な問題であるからだ。
 しかもアスベスト問題の所轄は多くの省庁にまたがる。国交省はもとより経産省、厚労省、環境省、総務省など多岐にわたる。
 うまみのある仕事ならば、各省庁は予算確保、権限拡大のため競って奪い合う。しかし厄介な問題は逃げて他の省庁に押し付け合う。官僚用語でいう消極的権限争いだ。
 だから一向に物事が進まない。放置されたままどんどん事態は悪化する。
 幸か不幸か、アスベスト被害が顕在化するのは何十年も先だ。どこまで粉塵を吸引するれば発病するかもわからない。
 それをいい事に対応策を真剣に考えない。不作為の罪である。
 おまけにアスベスト問題は産廃問題とも関連するやっかいな問題がある。下手に正義を貫こうとすると不測の事態さえ起こりうる。
 官僚の不作為をとがめ、国民の暮らしを第一に考えることこそ、政権交代を
果たした民主党政権に期待される事ではなかったか。
 菅民主党政権はアスベスト問題を取り上げなければ嘘だ。
 それにしても東京新聞がここまで大きく報道しているのに、他の大手新聞やテレビ報道が一切この事を取り上げないのはどうしたことか。
 東京新聞によれば、今年3月に川田龍平参院議員がこの問題を国会で取り上げ、アスベスト混入の建材破片が分別されずに処理されている危険性を質している。
 それでも国交省、環境省は「業者の過失による特異なケース」であると
答えて恥じない。
 他の国会議員は何をしているのか。何よりも政権政党である民主党政権は何をしているのか。
 国民の生命に関する事である。公害問題や薬害問題で、国は不作為の罪の重大さを学んだはずではないのか。
 民主党政権はアスベスト問題が火を吹く前に手を打たなくてはならない。
 メディアは東京新聞のスクープを無視するのではなく更なる調査報道を広げていくべきだ。
 さもなければやがて大きなツケを払わされることになるだろう。
                               了
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08/19号 菅民主党政権はアスベスト問題を取り上げなければ偽物だ
08/18号 鎌田慧が見抜いた「欺瞞の平和論」
08/17号 昭和天皇の責任を正面から問うた注目すべき二つの記事
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